2013年9月10日火曜日

リノベーションスクール。

8月のお盆の時期には、北九州でのリノベーションスクールに参加。
詳細はこちら http://renovationschool.net/kitakyu/ にて。
今回は5回目の開催で、去年の8月に行われた第3回の時には
スクールの受講生側として参加していたけれど、
今回は学生スタッフとして参加しました。
ユニットごとに一つの物件に対して、リノベーションの提案を考え、
最終日にはオーナーに発表するという5日間のイベントです。

この5日間で、エリアの調査からヒアリングを行い、意見交換を詰めて、
収支計画をたてて実現可能性を見込んだ上でのプレゼンである必要があるので、
なかなかハードなスケジュールが求められます。
学生スタッフとしての仕事は運営の手伝いや、ユニットの議事録作成。

ユニットのメンバーが話し合う様子。真剣な空気が流れます。


 フィールドワークがてらお昼ご飯。
スタッフは赤いTシャツを着ます。街を歩いていると目立つ…。
最終日の前日はみんなで徹夜でプレゼンの準備をしたり。
私もその頃には意見も出しつつ、資料作成などに勤しみました。
正直なところ、学生スタッフという立場で
どこまで密接にユニットに関わっていいのか最初の頃は探り探りで、
意見を言いたい時もぐっとこらえた場面なんかもあったのですが、
最終的には少しといえどユニットに貢献できました。
最終日には完成度の高いプレゼンを行うことができ、
みんなで酒を浴び(?)、盛大に打ち上げながらも
達成感に涙ぐむような場面もありました。

学生スタッフという一歩引いた目線からこの5日間を振り返ると、
リノベーションを事業化する為の一連の流れを体験できたことや、
斬新なアイディアだけではなく実現可能性を詰める為に
徹底した調査などの根気のいる作業が重要となってくること、
またリノベーションにはオーナーの理解が最大の要件であること、
様々な職種の人が集まって一つの物件に対して考えを巡らせることの
面白さと難しさ、などなど、沢山のことを学ぶことができました。
ここでの出会いは大切にしたいです。
自分が仕事としてどういうことをしたいのかも、
今まで以上に鮮明としてきたような気がします。

院生の夏休み、久々の東京一人旅。

院生となって初めての夏休み。

まずは7月末、インターンシップの面接で東京に行った時、
今まで行ったことのない街をまた歩いてみました。
東京一人旅は約一年一ヶ月ぶり。
東京には2ヶ月に1回くらいのペースで行っていたけれど
久々の一人旅ということでずっと関心のあったところを回りました。

例えば、「2k540 AKI-OKA ARTISAN」。
JR秋葉原駅と御徒町駅を繋ぐ高架下にオープンした施設です。

 このエリアは元々職人の街として機能していて、その文脈を活かし、
ものづくりを行う、技術を持った人々のショップを集積させています。
実際に、職人が手仕事で何かを作っている様子がショーウィンドウから伺えたり。
こんな休憩所もあり、海外からの観光客もちらほら見えました。
真っ白な空間がとても印象的。
高架下ならではの陰湿とした雰囲気はいっさい感じさせません。

そこから徒歩圏内にある、3331Arts Chiyodaにも。
ここに来るのは何回目だろうか。
 1階のスペースでちょっと休憩。
かつての学校としての趣を存分に残しています。

ちょうど、ポストペットの生みの親としても有名な八谷和彦の
個展「OpenSky3.0—欲しかった飛行機、作ってみた—」
が行われていたので、ふらっと入ってみました。
オープンスカイプロジェクトとは、「風の谷のナウシカ」に登場する
「メーヴェ」を実際に発明・制作してみようというプロジェクト。
失敗を重ねながらも、やっとの想いで空を飛ぶことに成功した映像には、
少し感動しました。
実際にメーヴェに乗った気分を味わえるシュミレーターもあったけど、
一人で機体にまたがる勇気がなかった…こういうところだよな…
松屋やすき家や吉野家や王将やなか卯には余裕で一人で入れるのに。

それから、何気に行ったことのなかった代官山へ。
念願の代官山蔦屋書店!
 外観も内装も近隣の風景もすべてオサレ。
 セレブ達が散歩をしている様子。
本がぎっしり。他の店舗ではあまり見られないような個性的な本があったり、
洋書が多かったり、本のセレクトまでオサレ。

というか、代官山の街並みのお洒落さには衝撃を受けました。
 何かこの区画の外観を統一するような条例でもあるのかな?
それくらい一体として洗練された街並。
 イルミネーションも綺麗でした。

翌日は面接の後、ふらっと蔵前へ。
空きビルの再生で話題となった神田周辺のCETエリアから、
最近はこの蔵前周辺がリノベーションのまちとして注目されています。

東京の東側から新しいカルチャーを発信するプロジェクト、
「EAST PROJECT」の第一弾として2011年にオープンした
複合商業施設「Mirror」には、レストランやギャラリー、オフィスが入居しています。
 中のレストランからは隅田川が見渡せます。
隅田川沿いの立地を最大限に活かしていて、窓側の席は予約で満席でした。
そんなこんなで、飛行機に乗り帰宅。
まだまだ知らない街や行ったことない施設が沢山あって、
東京には何回行っても行き足りない。
ただ、こういう何かしら特別な関心を持たない人にとっては
浅草やお台場や六本木ヒルズや築地といった超定番スポットと
渋谷原宿あるいは新宿なんかのショッピングを楽しんだだけで
満足するというか、他に見るもんないなーって思ってしまうのかな。
それは極端な話だろうけど、色んな街をふらふら歩くだけでも
こんなに楽しめるのだから、東京はおもしろいなーとつくづく思うのです。

現状。

久々の投稿になります。
昨年の10月から更新していないのか…!
前回の東京一人旅は、院試前に、自分の研究や興味の矛先を
再確認するために色んなまちを巡り回ったのでしたね。
その後、「リノベーションとまちづくり」を観点に院試を受け、
一つの物件の再生から街の活性化へと繋がるプロセスについて
研究したいと意思表示したものの、一年後の今、
研究内容については未だブレブレな私です。
ほんと、常日頃ああでもない、こうでもない、と
考えを巡らせているのだけど、一点には落ち着かず、焦ってます。
というのも、リノベーションが点から面に繋がるプロセスって、
要は人が重要であって、
一つの物件に、よそから人を集めるだけの吸引力をもった人が入って、
アパレルショップなりカフェなりホステルなりを運営し始めて、
その人の知り合いや、その人の取り組みに共感する人たちが
少しずつ集まって、点々と面白い店が増えて、その街が変貌し始める。
その吸引力を持った人が最初にその物件を選んだ理由としては、
安い賃金で好きなように建物をカスタマイズできることであったり、
天神などの中心部からは少し離れているけどアクセスの悪くない場所であったり、
間取りやファザードでなんとなく物件に魅力を感じたからであったり…
もちろんケースバイケースだけど、
こういう動きが東京や福岡に限らず全国で広まってきている。
福岡で言うと、たとえば七隈線に駅がある鳥飼。

お洒落なショップが点々とあり、「鳥飼MAP」なるものを
フランス雑貨店をこのエリアで運営する女性の方がつくっていて、
点々とあるお店を回りながら「まちあるき」ができることを発信している。
互いのお店にDMを置き合ったり、お店同士の連携も見られた。
何人かの店主に話しかけてお話を伺ったけど、
このエリアはここ3年くらいで個性的なショップが一気に増えたそう。
きっかけとなったキーマンは、おそらくあるカフェの店主。
福岡のリノベーションエリアといえば、まずここが挙げられるでしょう。

あとは、長浜横丁。大濠公園や赤坂の周辺にあり、天神からも徒歩圏内。
アパートの吹き抜け空間に軒並みお店が並んでいます。

もともと昔からの古いお店が並んでいて、有名な「たつみ寿司」があることで
サラリーマンの行き来も頻繁に見られるこの通りに、
多くの常連を抱えるメンズのアパレルショップが開いて、
その店主の知り合いの方がまたこの通りにお店を出して、
カフェ・バーもできて…という流れ。
この個性的な空間には、東京から来た人もびっくりするそう。

あとは、御供所通り。博多駅から徒歩圏内。
ポツポツと、リノベーション物件が増えはじめている。
ただ、鳥飼ほどの活気は見られなかったかな…。
 それから清川。ここもあまりエリアとしてリノベーションの潮流が
来ている印象は受けなかったけれど、「Lassic」という
一棟まるごとリノベーションした複合施設の存在感は強かった。
最後に、美野島。まだ行けてないのだけど、
古い街並の残るエリアで、最近カフェ・バーを備えたホステルができて、
今後エリアならではの資源を活かしながら
街が変わっていく可能性を孕んでいるみたいです。

こんな感じで、福岡でもこんなに面白いエリアが存在していたとは
全く知らなかった私ですが、東京の神田の例や今注目されている蔵前と
重なるような部分を強く感じ、
“古い建物を活用した新しい動き”は確かに時代を創り始めているようです。
ただ、これを研究するとなると、どうなる…?!
面的に広がっていくプロセスは人の存在ありきだし、
どういう物件がリノベーションに選ばれるかといえば
建物のポテンシャルをどう見抜くかという観点もあるけど
結局はオーナーに意思があるかどうかだし…むずかしい。
東京の事例と福岡の事例を比較できればとは考えているけれど。

そして更なる関心の矛先としては、福岡の再開発について。
博多駅に隣接する郵便局を大規模小規模施設へと建て替える計画が進み、
明治通りや国体道路はビルの老朽化から建て替えが検討されており、
港の方は規制緩和で今後商業施設が開発される見込みで、
また七隈線の延線計画や西鉄福岡駅のリニューアル、
天神のソラリアを始めとする商業施設の大幅改装などなど…
正直、こうした大きな動きの方が気になる。とても気になる。
福岡は変動期にあるんだなと日々更新されるニュースを見ながら思う。
そして、東京オリンピックの開催決定。
建て替えはどんどん進んでいく。不動産バブルは延命されていく。
リノベーションの考え方は、住宅ではかなり注目されているけれど、
オフィスや大規模な商業施設でいうとまだ事例も少なく、
あるいはオリンピックの為の招致施設の建設では検討にもいれられないだろう。
建て替えは場合によって必要だと思うけど、
古い建物ならではの魅力をないがしろにしてはいけないとも思う。
リノベーションを行う意義としては、築年数を重ねた不動産でも
これまで蓄積されてきたまちの資産価値や文脈
(伝統や生活に溶け込んだ文化的意味合いなど)を尊重して、
そこに新たなコンセプトや付加価値を持たせながら将来へ
大切に継承していくことで、まちや都市としての魅力の向上に繋げること。
他にも環境への配慮や経済面での合理性も挙げられる。
東京の発展をアピールするためにも高層ビルの更新は必要だろうけど、
残すべき建築は残すべきだと思うのです。
そう考えると、東京駅の改修や丸の内の「KITTE」はとても共感できる。
ただ、これらは文化財とまではいえないのだろうけど、
ここまでの歴史性を孕んでいないと建て替えは逃れられないのかなあと…。
うーん。何が残すべきでなにが建て替えられてもヨシなのかは
自分の中でひとつの軸を持っておかないと論文にはできないだろうな。
そして、東京でも福岡でも建て替えがこれから積極的に行われるのならば、
現代のニーズに沿った新しいスペースの創出をしてほしい。
それについては、今後また考えを述べていきたいと思います。

知識も浅いので、このブログを見た人は所々おかしいな、と
思われる節もあるかと思われますが、その際はどうかご教授くださいませ。